労苦
第36章
     36
 午後5時を回る頃、署を出、車を停めている有料駐車場へと向かう。


 ドアを開け、車内に入り、運転席に座った。


 エンジンを掛け、ハンドルを握る。


 そのまま、千代田方面へと車を出した。


 そうひどく暑くはないのだが、辺り一帯に熱がある。


 ものの10分とちょっとで、警視庁に辿り着いた。


 帰庁後、残務をこなす。


 そして午後9時過ぎには建物を出た。


 辺りは秋の虫が鳴く音が聞こえる。

 
 もう夏も終わりだ。
 

 そう思えていた。


 その夜も地下鉄に乗り、晴海が待つ自宅マンションに帰り着く。


< 309 / 666 >

この作品をシェア

pagetop