労苦
 コーヒーを一口飲んだ後、


「神宗会の連中の様子はどうです?事務所はここから目と鼻の先ですが」


 と訊いた。


「まあ、あの連中も懲りませんよ。近隣の所轄のマル暴も頻りに目を凝らしてますし」


「でしょうね。……本庁の組対の方も目立った動きはありませんから」


「捜査が進まないと、イライラすることもありますからね」


 前田がそう言って、重たげに息を吐き出した時、石川が入ってくる。


 そして椅子に座り、


「川中組対部長の打つ策はまだみたいですね?」


 と言った。


「ええ。……上層部は動きませんよ。簡単には」


「でも、その腰の重さがネックになってるんじゃないですか?」


「まあ、そうですね。……気長に待ちましょう。組対もタイミングを見計らって動くと思




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