労苦
 担当案件以外、一々構う暇がないのだった。


 その日も午後9時過ぎには警視庁を出、自宅へと向かう。


 疲れていた。


 だが、捜査は切羽詰っている。


 苦痛だった。


 三原社長殺害事件の捜査は現時点で厳しい局面にある。


 正直なところ、組対が出動でもしない限り、神宗会や手下のチンピラは摘発できない。


 まあ、別に俺たち一課の刑事の方から組対に打診することはない。


 普段から組対は勘繰って回っているはずだ。


 様々な捜査網を使い。


 思っていた。


 しばらくは組対とも距離を置こうと。


 賢明な策だった。

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