労苦
 得られるものがどれだけあるか、分からずに。


 警察を舐めるな。


 仮に殺人犯が見つかれば、真っ先にそう言ってやりたかった。


 だが、犯人像は一向に掴めない。


 まるでモノトーンのように暗く沈み。


 そして警察サイドも手掛かりなどを得られずに、ずっと低迷していた。


 苛立ちはある。


 なぜ、俺たちの手で殺人犯を捕まえられないのかという。


 合間に安定剤を服用しながら、集中的に南新宿へと行く。


 だが、物証の断片すら得られず仕舞いだった。


 もちろん、いくら捜査の遅滞を嘆いても意味がない。


 そう思っていた。


 日々ハイペースで飛ばしながらも、前方は霞む。



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