労苦
 仕方ないと思いながらも……。


 その日も午前中に庶務を行い、昼食を挟んで、午後からは捜査に出た。


 ジレンマや葛藤の類が絶えずある。


 心の中に蟠って。


 車のハンドルを握りながら、落ち着かないのを感じていた。


 努めて平常心で向かう。


 決して焦らずに。


 組対でも暴力団捜査担当の四課は水面下で動いているはずなのだし……。


 川中の持つ旗の一振りで捜査部隊は動く。


 だから、俺たちがやるのは捜査一課の捜査員としての仕事だけだった。


 淡々とやればいい。


 大仰なことは一つとしてする必要がない。


 まあ、それ故の単調さはあったが……。




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