労苦
 南新宿に到着し、一通り現場を見てから、所轄へと歩き出す。


 毎日、どのぐらい歩いているだろう?


 履いている革靴は確かに底が擦り減り、そのたびに交換していた。


 南新宿署に真正面から入り、刑事課へと歩いていく。


 昼過ぎで、前田が一人いた。


「ああ、梶間警部、橋村警部補。お疲れ様です」


「前田さんは今日は留守番ですね?」


「ええ。石川が他のデカと一緒に外回りに行ってるものですから」


「この署の捜査員も連日お疲れでしょう?」


「まあ、そうですね。……ですが、三原社長殺害のホシが捕まれば、帳場は解散ですから。やっと過酷な任務から解放されますし」


 前田が軽く息をついた。


「まだ事件の全貌が見えませんね」




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