労苦
「ああ、梶間警部に橋村警部補。お疲れ様です」


 と言ってくる。


 席を立ち、帳場へ向かって歩き出した。


 俺も橋村も付いていく。


 警察官は事件のたびに緊張感が漲り、一時的に眠気などが差しても、すぐに消える。


 きっとこの所轄の人間たちも、そうだろう。


 警察上層部は、神宗会を始末する手筈など考えてないのだし、矢野原や内田をみすみす逃がしている。 


 捜査の遅滞と言わずして何だろう?


 そう思いながらも、今は所轄に来ているので、そこでじっくりと話をすべきだと考え直す。


 帳場の椅子に座り、口を真一文字に結んでいると、石川が、


「大変ですよね。本庁から毎日のように所轄に来られて」


 と言った。




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