労苦
「ええ。……大きな前進ですね。犯行グループの一員を捕まえるんですから」


 橋村がそう言い、拳銃を取り出した。


 俺も非常用に一丁持っている。


 内田は西新宿にずっと潜伏中のようだった。


 おぞましい顔写真を思い浮かべるたびに反吐が出る。


 あのデブが。


 とうとう尻尾出しやがったか。


 薄ら笑いを堪えられない。


 そしてその日、警視庁の複数の所轄の刑事たちが内田の立てこもる西新宿のビルに来て、午後1時を回る頃、一斉突入した。


 突入前に現場で指揮を執った警視庁の管理官の川副が、


「マル被は凶悪犯だ。撃ち殺しても一向に構わない。……突入しろ!」


 と言うと、そこにいた警官が各々銃を構え、雪崩を打ってビル内へと入っていく。
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