労苦
第43章
     43
 拳銃は使用後、ある程度時間が経つと、火薬残渣が消える。


 俺も橋村も警視庁の他の刑事と共に内田晶夫を射殺し、まずは凶悪犯を一人葬ったことになる。


 あの人間が更生するとは到底思えない。


 だから、現場にいた管理官の川副もあえて射殺と判断したのだろう。


 別に悪いことじゃない。


 むしろいいことをしたと思っている。


 内田など、仮に逃亡幇助罪で服役して出てきても、また悪いことをやらかすだろうし。


 殺して正解だった。


 警察官は皆、そう思っている。


 総意というやつだ。


 そしてまた時が経つ。


 一つ週が明けて、新たな週の木曜になる。


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