労苦
 晴海から見送られて、自宅マンションを出た後、地下鉄の駅へ向かう。


 10月は幾分冷える。


 季節は移り変わっていく。


 俺だって、気付かないうちに時間が経っていた。


 通常通り出勤し、十階の捜査一課フロアへと向かう。


 葛藤はあった。


 元々、ストレスや不平・不満などを溜め込みがちだ。


 だが、人間は困難を自力で乗り越えるしかない。


 そう思うのだった。


 フロアに入っていくと、橋村が先に来ていて、


「おはようございます、梶間さん」


 と挨拶してくる。


「ああ、おはよう、橋村君」



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