労苦
 所詮、今回の事件は捜査に進捗がないのだろう。


 別にそれならそれで構わなかった。


 ただ、俺たちだけで、犯人に近付くことも考えている。


 問題は鑑識の上田が言っていた証拠品だ。


 凶器となったゴルフクラブは、現場から百メートルほど離れた空き地の草の中に捨てられていて、警察の捜索で発見された。


 それを鑑識が調べ、DNAを割り出したのである。


 柄の方に、当山の指紋が付着していた。


 そして遺留品の中にあったと目される、データの詰まったフラッシュメモリの紛失も鑑識の遺留品係の捜査で判明していたのだ。


 あるものがない。


 当然疑うだろう。


 盗んだ誰かを。


 俺たちはどこまでホンボシに近付けているのだろうか?
< 36 / 666 >

この作品をシェア

pagetop