労苦

　気になる。


　だが、事件捜査が進む過程で齟齬も出てきた。


　一つは一課が捜査を所轄に丸投げしたことだ。


　普通ならそんなことはしない。


　殺しだから、警視庁本体が一丸となって、全力で動く。


　それに一課長である吉村が、まるで腫れ物にでも触るように俺たちを警戒していることだ。


　いろんな点を考え併せても、マイナス要因ばかりで、捜査が上手く行くとは到底思えない。


　だから、俺たちが警視庁はおろか、所轄の目さえ潜り抜けるような感じで、捜査を断行する。



　異論は出るだろう。


　なぜ、あの二人が勝手に動いてるのかと。


　だが、勝手に動かざるを得ない事情もあるのだ。