労苦
 俺も橋村も頭を冷やす。 


 とんでもないことを捜査するのに、冷静さは必要だ。


 そしてその日帰庁し、残務をこなしてから、午後9時を回る頃に警視庁を出る。


 自宅マンションに帰り着き、晴海と遅い夕食を共にして、入浴した後すぐに眠った。


 次の週の金曜は、空が晴れている。


 通常通り午前8時20分前後には出勤し、警視庁十階の一課にフロアに詰めた。


 ここ数日、特に動きはない。


 だが、ようやく警視庁も本件の捜査に向けて稼働し始めた。


 鈍すぎたのである。


 今までが。


 やっと火が点いた。


 その日も午前中は庶務をこなし、昼食を取って、午後からは南新宿へと行く。

 
 考えてみれば、俺も橋村を連れて入念に現場を見ている。



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