労苦
 上が頼りないと、下は別行動を取ることになる。


 そういったことを実感していた。


 まあ、警察社会でもそういったことは散見しているのだが……。


 その日も新宿区内の定食屋で昼食を取った後、街を歩き続ける。


 靴底が擦り減る。


 年間、何足履き潰しているだろう?


 数えきれなかった。


 いつも馴染みの店で革靴を買うのだ。


 底が破れてしまうたびに。


 思っていた。


 刑事らしいことだなと。


 事件のあった現場を何度も何度も見て回る。


 毎回、違うことを考え付く。
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