労苦
 晴海が起こしに来なくても、自然と目が覚めた。


 キッチンで妻の淹れたコーヒーを飲み、洗面してから、カバンを持って歩き出す。


 日常生活で、別に変わったことはなかった。


 淡々と流れていく。


 時間が。


 午前8時20分には警視庁に出勤し、一課のフロアで橋村と顔を合わせる。


 互いに挨拶をし、パソコンを立ち上げてから、画面に向かった。


 だるさはある。


 ここ数日間ずっとそうだった。


 体の倦怠は抜けない。


 南新宿署へ通い続けている。


 この事件の捜査自体、形式的には所轄に丸投げされたのだから……。


 これと言って、手掛かりも見つからず、ただ犯人サイドに翻弄されている。



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