労苦
 前田と石川、それに他に数人のデカがいて、フロアに詰めている。


 前田が一言挨拶して、立ち上がり、


「梶間警部、橋村警部補、帳場にどうぞ」


 と言って、先導した。


 俺も橋村も各々一礼し、歩き出す。


 形骸化した帳場は、普段誰もいない。


 ほぼ毎日通い詰めているのだが、この空間はある意味、異様だった。


 元強行犯係長で、帳場の責任者だった大村が死亡している以上、捜査会議も開かれない。


 個々の捜査員がバラバラに行動していて、刑事事件の捜査も進まないのは頷ける。


 だが、警視庁サイドはいずれ神宗会側に強制捜査を執行する手筈だ。
 

 その時はガサ入れに参加する。


 捜索班の主体が刑事部じゃなくて、組対部だったにしても……。


 それにしても、矢野原監察官は一体どこにいるのか?





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