労苦
 そしてまた現場を探る。


 デカは現場百遍だ。


 そう思い、くまなく見て回る。


 軽く息をつき、吐き出すタイミングで、


「……橋村君、今日は本庁に戻ろう。ちょうど午後四時半過ぎだから、今から帰れば午後五時を回る頃には帰庁できるね」


 と言った。


「ええ。また明日以降、来ればいいことですし」


 橋村は落ち着いている。


 冷静沈着だ。


 駐車場に停めていた車に乗り込み、走らせる。


 運転席でハンドルを握った。


 助手席にいる橋村も横顔に幾分疲れが見える。



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