労苦
「俺も知らないよ。……だけど、川中組対部長もやる気はあるんじゃない?」


「まあ、そうだといいんですが……」


 幾分不信感があるようだ。


 確かにそうだろう。


 組対は対象を泳がせる作戦を取っている。


 それも一つの手だ。


 いざとなれば、逮捕状を取り、一気にホシの身柄を確保するのだろう。


 刑事事件において、しばしば取られる。


 捜査のやり方として。


 まあ、もちろん俺も橋村も、組対の捜査方針には口出しできないのだが……。


 車が南新宿に着き、車両を停め、降りてから歩き出す。


 周囲を一通り回った後、南新宿署へ向かった。


 刑事課内には数名捜査員がいる。
< 432 / 666 >

この作品をシェア

pagetop