労苦
「ああ、梶間警部、橋村警部補。お疲れ様です」


 俺も橋村も各々「こんにちは」と一言挨拶する。


 前田が帳場へと案内してくれた。


 大村が毒殺された後、捜査本部は形骸化してしまい、単に部屋だけで後は何もない。


 だが、ここは俺たち警視庁の人間にとって、この署内における居場所だ。


 コーヒーを淹れてもらい、飲みながら話をする。


 どうやら、所轄の捜査員たちもほとんど確信しているようだ。


 三原を葬ったのはやはり神宗会関係者であると。


 いずれ警視庁組対部が事務所をガサ入れする計画も、内々で浮上しつつある。


 焦らずに進むつもりでいた。


 その日も帳場で話し続ける。


 もちろん、警視庁捜査一課でも三原殺害のヤマに首を突っ込んでいるデカは、俺たちぐらいなものだったが……。
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