労苦
 事件捜査には時間を掛ける。


 成果が上がるか、そうじゃないかは別として……。


 その日はずっと街を巡回した。


 考えてみれば、俺たちコンビには休日がない。


 働き詰めである。


 今の事件が解決すれば、平時に戻り、軽く一息つけるかもしれないが……。


 本庁勤務で、キャリアだとは言っても、俺自身閑職だ。


 出世する見込みはない。


 ずっと。


 窓際刑事など、世の中大勢いる。


 そう思い、耐えてきた。


 橋村も俺のことは知っているので、分かってくれている。


 その日は冷え込む中、外を回っていた。


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