労苦
 それに一課でもトップである吉村や、理事官、各管理官などは、常に見張り続けるのだ。


 お互い同士を。


 入庁したての頃は、何が何だかよく分からなかった。


 だが、高度な縦社会で階級社会でもある警察は、常にトップダウンだ。


 横の繋がりはそう重要視されない。


 そういったところに苦しんでいた。


「おはよう、橋村君」


「ああ、梶間さん、おはようございます」


 橋村が先に来ていた。


 そしてまだ時間があると思っていたようで、つい最近ネット書店で買ったらしいハードボイルド小説を読んでいる。


 十分ほど見逃していたが、やがて午前八時半過ぎになると、


「橋村君、本を閉じて、仕事しなさい」


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