労苦
第64章
     64
 その日も午後6時前まで前田と話をした後、署を出てから、停めていた車へと向かう。


 乗り込み、千代田方面へと走らせた。


 街は冷えていて、いかにも真冬という感じだ。


 だが、厳しい寒さが続くのも2月いっぱいぐらいまでで、3月になると、春の日差しが差す。


 それまでの辛抱だった。


 警視庁に戻り、十階の捜査一課フロアに入って、パソコンに向かう。


 淡々と残務をこなした。


 キーを叩き、所定のフォームに把握事項等を打ち込んでいく。


 改めて思っていた。


 刑事は疲れる仕事だと。


 その日の仕事が終わり、建物を出てから、歩き出す。


 桜田門駅から地下鉄に乗り込み、自宅へと戻った。



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