労苦
 南新宿署に行き、刑事課を見ると、顔馴染みの署員は出払っている。


 仕方ないので、署を出てから、外へと歩いていった。


 スマホで地理を把握しながら、街を歩く。


 その日ずっと、喧騒溢れる街を歩き続けた。 


 どこに行っても、警察手帳さえ提示すれば、出入りなどはほぼ可能だ。


 新宿は慌ただしい。


 今日も、そしておそらくは明日以降も。


 街は面相を変える。


 自在に。


 一瞬たりとも同じ貌じゃない。


 刹那変わるのだ。


 人も、取り囲む様々なものも。


 歩きながら、そういったことを感じ取っていた。



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