労苦
 と言った。


「はい。分かりました」


 橋村がそう言い、本にしおりを挟んで、カバンに入れる。


 そしてパソコンのキーを叩き始めた。


 暇はない。


 だが、焦ることもない。


 一課でも部署がいろいろあるのだが、強行犯八係にいる俺たちは、常に事件捜査でも強盗・殺人事件に回される。


 それはそれでよかった。


 一課の警察官にとって、凶悪犯の検挙は日常茶飯事だ。


 今回の新宿での三原伸吾殺害事件も、本来なら南新宿署に丸投げする必要はなかった。


 だが、上の方針と俺たちのやり方は一致してない。


 それはそれでいいと思う。

< 49 / 666 >

この作品をシェア

pagetop