労苦
 とにかく暇がない。


 始終、動き続ける。


 その日も午前中庶務を片付け、午後から南新宿へと向かう。


 助手席に橋村がいて、


「梶間さん、このヤマ、ヤバくないですか?」


 と言ってきた。


「まあ、確かにね。……でも、投げ出すわけにはいけないからな」


 一言言って、軽く息をつく。


 冷える。


 連日、寒い日が続いていた。


 本来なら、外勤など引き受けたくないのだ。


 だが、デカは何でもやる。


 そう思うと、力が湧いてくる。



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