労苦
「梶間さん、組対が神宗会のガサ入れするために、内偵してるみたいですよ」


「うん、いいと思うよ。……でも、ちょっと気になることがあってね」


「気になること?」


 橋村が問い返したので、答えた。


「――神宗会の人間たちを捕まえるための、肝心の容疑を何にするかということだな。下手すると、全面戦争になるから、避けた方がいい部分もあるけどね」


「それはやっぱマルB摘発ですよね。組対のマル暴だって、見逃しはしないでしょうし」


「そう?……じゃあ、三原さん殺害の件では、組対は動かないんだな?」


「まあ、そう思います。情報収集不足ですからね」


 橋村がそう言い、コーヒーを一杯注いで、カップに口を付ける。


「当山謙太が三原さんをゴルフクラブ様の鈍器で殴って殺した後、遺体を遺棄した件に関しては、本庁は手も足も出ないか……」


「そんなことないですよ」


 同じフロアにいた女性刑事で警部補の島谷(しまたに)が間から割り込んできた。
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