労苦
 世の中の悪は決してなくならないのだが……。


 もちろん、悪いものが蔓延るのも浮世の実情なのだし……。


 警察は常にいろんな事件を取り締まる。


 それが仕事だった。


 南新宿の街を歩き、所轄へと向かう。


 刑事課に入ると、前田がいた。


 声を掛ける。


「こんにちは、前田さん」


「ああ、梶間警部、橋村警部補。お疲れ様です」


「久々に話でもしませんか?」


 一言そう言うと、前田が頷き、帳場へと向かった。


 入ってすぐにコーヒーを人数分淹れ、持ってくる。


 大村が毒殺されてから、時間が経っているので、この捜査本部も寂れていた。



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