労苦
 今回の三原伸吾殺害事件でも、本庁の捜査一課でまともに動いているのは、俺と橋村ぐらいだった。


 他の捜査員はじっと模様眺めしている。


 別に気に留めることでもない。


 野次馬だって、面倒なことに巻き込まれたくはないのだ。


 分からんでもないが、所詮役人などそんな無責任な人間だということは、痛いほど感じている。


 現場に降り立ち、辺りを歩き出す。


 連日ここを回っているので、足が棒になったように痛い。


 やはり無理しているのだ。


 常に。


 辺りを見て回り、その後、南新宿署へ向かった。


 刑事課には捜査員がいない。


 出払っているのだろう。



< 579 / 666 >

この作品をシェア

pagetop