労苦
行犯係長など、上の人間たちなのだが……。 
 

 ちょうど帳場の後ろの方の席で聞いていると、稀に同席している人間たちが吠える。


 野犬のように。


 俺たちはずっとだんまりを決め込んでいた。


 ちょうど四月の終わりの日も、帳場でじっと話を聞きながら、ICレコーダーを回す。


 捜査の手順は分かっていた。


 きちんと情報を整理し、後から全てを確かめる。


 その繰り返しだった。


 昼を過ぎて、午後一時前ぐらいに捜査会議が終わったので、立ち上がり、出入り口へ向かおうとする。


 背後から、


「なぜ本庁の捜査員が?」


 と声が聞こえてきた。




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