労苦
 いつものように近辺を見てから、南新宿署へと行った。


 刑事課に入ると、石川がいて、


「ああ、梶間警部、橋村警部補。お疲れ様です」


 と声を掛けてくる。


「石川巡査部長、今から話をしましょう」


「ええ」


 俺の言葉に石川がそう返し、帳場へと向かった。


 付いていき、今は誰もいない、捜査本部のあった場所へと入っていく。


 そしてコーヒーメーカーでコーヒーを淹れ、椅子に座った俺たちの前へ置いた。


「矢野原監察官が都内で目撃されたとか?」


「ええ、間違いありません。……前田から聞いたんでしょう?」


「はい。被疑者確保のため、動くんですよね?」


「そうですね。手は打ちます。……殺人教唆の嫌疑が掛かってますから」



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