労苦
第97章
     97
 その日は一課のフロアに詰め、午後8時過ぎには本部庁舎を出て、帰宅した。


 疲れはある。


 体の芯に、だ。


 だが、慣れた。


 夏場は何かと空気が生温く、眠たいのだが、さすがに上下ともスーツを着ていると、身が引き締まる。


 自宅マンションに帰り着き、晴海と共に食事を取った。


 妻は遅くまで起きていて、朝も遅い。


 毎朝早く起きてから、晴海を起こさないようにして、出勤していた。


 さすがに都内は連日晴れていて、蒸し暑い。


 その週の火曜も午前8時20分には警視庁に着き、十階の捜査一課フロアでパソコンを立ち上げて、キーを叩く。


 いつも思う。


< 649 / 666 >

この作品をシェア

pagetop