労苦
 吉村も他の幹部たちも、そして各係の係長級の人間たちも俺や橋村のことを見ている。


 梶間と橋村の野郎、最近やけに大人しいなと。


 当山謙太が口を封じられた以上、残された策は組対稼働のみだ。


 そればかり気に掛けていた。


 川中がいつ配下の捜査員たちを動かすのだろう?


 おそらくあの組対部長が決断するのを、刑事部のデカたちは待っている。


 組対が動けば、神宗会は一発で終わりだ。


 だが、新宿は戦場になる。


 気にしていた。


 事情をまるで知らない一般人がトラブルに巻き込まれることほど、重たい罪悪はない。


 もちろん、警察はいろんな手を考える。


 選択肢として、組対を使い、速やかに神宗会を解体へと持っていくのが一番なのだが……。
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