労苦

「何を疑ってるんですか？単なる撲殺でしょ？」


「まあ、普通に考えればそうだよね。……でも、マル害とマル被に接点はあるのかな？」


「ＤＮＡが残ってたんですから、ないとは言い切れませんよね。それはちゃんと分かってます」


「組対が神宗会事務所を捜索したら、ヤバいものがいっぱい出てくると思うな。俺も気になってるんだよ。事件と当山、それに同じ構成員の池上と田無の動きが、な」


「ブツが出れば、押収して即解析ですよ。鑑識の人間がやってくれます」


　橋村がそう言い、軽く息を吸い込んだ。


　排気ガス臭が絶えない。


　車両の通行量は目抜き通りより少ないのだが、ここが大都会の一角であることを窺わせるに十分だ。


　辺り一帯を歩きながら、検証する。


　小一時間やっていた。


　そして現場を見終わると、