労苦
「橋村君、今から南新宿署に行ってみよう。帳場立ってるから、そこでいろいろ話を聞くと、分かってくることもあるかもしれない」


 と言った。


「ええ。お付き合いします」


 橋村が頷き、付いてくる。


 現場から所轄署まで、歩いて十分程度だ。


 幾分速めに歩いて、だが……。


 署出入り口で警察手帳を提示し、中へ入っていく。


 刑事課にある帳場に行くと、中には警察官が揃っていた。


 ただし、人数は十人程度だ。


 殺人事件でこの程度じゃ、とても解決するわけがない。


 口にこそ出さないが、そう思っていた。


 捜査本部の管理官席に座っていた大村が、俺たちを見つけ、
< 69 / 666 >

この作品をシェア

pagetop