労苦
 そして、


「口答えするヤツは、遠慮なしに捜査から外れてもらう。いいな?」


 と言い、あくまで捜査権を一手に握っているといった居丈高な感じを表す。


 誰も何も言わない。


 目立った収穫なしに捜査会議が終わり、皆が立ち去ると、大村が、


「今日のところは御帰りください。捜査員は今から出払いますから」


 と言ってきた。


「ええ。失礼します」


 そう言って橋村を連れ、歩き出す。


 その日も警視庁に戻ると、相変わらず一課のフロア内は慌ただしい。


 雑音を聞き流しながら、淡々とデスクでやることをこなす。
 

 吉村が南新宿署の上の人間たちと繋がっている可能性があった。


 あくまで俺の推察なのだが……。
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