労苦
 橋村がそう問うてきたので、


「ああ。事件が動き出したよ」


 と返す。


 そして歩を進める。


 上田が言った例のクラブ、ムーンへと向かった。


 思う。


 この手の店は新宿区内にいくらでもあると。


 歩みを進めた。


 きっと内田晶夫は店内にいるだろう。


 たとえ今が夜、店を開くための準備時間であったとしても。


 店に行き、警察手帳を提示して「警視庁捜査一課の者です」と言い、入っていくと、中はもぬけの殻だ。


 そして数分経ち、上田からスマホに連絡が入った。
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