労苦
 南新宿署の捜査本部は、強行犯係の大村が率いているが、事件には手も足も出ない。


 まるで全く打率の伸びないバッターのように、何も出来ないのだ。


 そして週が明け、次の週の水曜になり、平常通り朝から動き出す。


 午前八時二十分には出勤していた。


 三原撲殺で当山と同じ容疑が掛かっている内田は、逃げたままだ。


 あの野郎、警察舐めやがって。


 憎悪の念がこもる。


 だが、凶悪犯を捕まえるには、それ相応の態勢が必要だ。


 警察もここまでバラバラだと、出来る捜査も出来やしない。


 吉村がどう判断するかが、問題だ。


 七係と八係は詰所が隣接していた。


 ここで下手に七係のデカに因縁を付けると、後々がまずい。


 差し控えていた。




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