自称異物少女と誠の武士
「まぁ付き添っていくだけなんで心配しないでください。何ならついてきます?」
俺が屯所を離れられないことを知っていながら、こういう言い方をしてくる意地の悪さも相変わらずだ。
「いや。お前を信じてない訳じゃない。俺には仕事があるからな。屯所を離れるわけにはいかないだろう」
「ですよね。分かってますよ」
つまらなさそうに言うと、桐谷は立ち上がる。
「部屋に戻ります。あんまり山崎さんの部屋に入り浸ってたら、恋仲なのばれちゃうんで」
部屋を出て障子が締まり、足音は遠退いていく。
怒っていたような気がして、出て行く間際の態度が少し気になったが考えないことにした。