自称異物少女と誠の武士





「これいいかも」



偶然見つけた竹刀や木刀が売っている店。



客なんて一人もおらず、人と関わりたくない私にはぴったりのお店、のはずが。



「君は剣道をしているのか?」



「まぁ一応。最近は稽古してないので鈍ってますけど」



「そうか。じゃあ一つ、手合わせ願いたい」



はぁ!



このオヤジなんなんだよ。



見ず知らずの相手に手合わせして欲しいなんざ、バカなのか。



「あの……」



断ろうと話しかけた瞬間、腕を掴まれて強制連行される。



おいオヤジ。貴様は店員だろうが。お客様の話は最後まで聞けよ。



「それでは始めようか」



竹刀を渡され、無理やり手に握らされる。



試合するのは強制なんですね。私そんなに強くないんだが……。



私のいい分も聞かずに勝手に合図され、試合は始まった。




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