自称異物少女と誠の武士





情けなさとさっきの男への恐怖から体は無意識に震え、涙を流して嗚咽の声が漏れる。



手を引かれ抱き寄せられる。



逃れようと抵抗するが背中に回された腕の力は強かった。



「悪かった。いくら男でも女の格好している以上可能性はあった。自分より力の強い人間に襲われて怖くないわけないよな」



何度も何度も謝る土方に申し訳なさが出てきた。



もう行かなくていいからと言われる自分が情けなかった。



土方は何も知らない。



私が女であることなんて知らないから仕方がない。



その時騙していることへの罪悪感に苛まれた。




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