自称異物少女と誠の武士
第九章 喧嘩、涙、嫉妬
最近やたらとみんなに気を遣われている。
私がこの間へまをしたせいなのだが……。
「おーい日向、部屋に籠ってないで出かけようぜ」
また気を遣ってくれているようだが、気分じゃないため折角誘ってくれた平助には悪いが、今回はちょっとね。
「すみません、気分が乗らないので遠慮します」
「そっか、じゃあ行ってくるな」
「いってらっしゃい」
手を振り去っていく平助を見送った。
「前の私に戻ってるなぁ」
誰に言う訳でもなく口にしたその言葉は部屋の隅に消えていった。