自称異物少女と誠の武士
「いい度胸だな、山崎。だが俺も譲る気は毛頭ねぇ」
副長のことだから濁すのかとも考えた。
誰よりも新選組のことを思っておられることはよく分かっている。
だから新選組が大事だと諦めてしまうのだと思っていた。
だがはっきりとその言葉が聞けて安心した。
勝負だなんて大きく言えないが、同じものを賭けているという意味では勝負だろう。
賭けだなんて言ったら彼女に悪いが、どんなことをしてでもやっぱり失いたくはないのだ。
一礼すると部屋を後にした。
目が覚めたらもう一度思いをちゃんと思いを告げようと心に決めて。