これが無ければ完璧な幼馴染?
何が残念なのかって?
どうも皆さんこんにちわ。
初めましてが多いけどそんなんどうでもいい。
俺は今とっても辛い状況を受け入れなくてはいけない。
何せ、クラスメイトや友達の視線が凄く冷たく突き刺さっているからさ。
誰でもいいから助けてくれやせんか?そこのこれを読んでいる君でもいい。助けてください。
え?なんで助けてなのかわからないって?漫画みたいに絵があるわけでも無く・超能力がある訳もないからわからないと。おっしゃる通り。説明しましょう。
今俺は学校の教室にいる。
で、自分の席にいるわけ。一番後ろの窓際。特等席なのに何がつらいんだって話だよな。
理由はただ一つ。幼馴染である瑠璃が俺の後ろに立って首に手を回し抱きついているから。
ただそれだけ。
なのに何で皆が睨んでいるかって?理由はただ一つ。
男女問わず瑠璃は人気があるからで…俺はその瑠璃を独占している状況に見えるからだそうだ。とんだとばっちりだ。
「瑠璃、退け。」
「どうして?」
「俺の命が危ない。」
「そんな事無いと思うわ。ね?」
にこっと笑って周りを見渡した瑠璃。
その瑠璃を見て鼻血を出す者や、失神してその場に倒れこむ奴ら。
なんでこんなになってんだ?お前らマジでこいつの性格わかってんのか?
溜め息を一つついて、俺は瑠璃の腕をつかみ教室を出る。
「どこに行くの?」
「屋上、そこなら二人になれんだろ?」
「そうね。」
ニコニコと嬉しそうな顔しやがって…後でクラスからの制裁が恐ろしい事になりそうだ。

屋上
移動や展開が速いのは気のせいだから気にするな。
ドアを閉めるなり、背中に衝撃。というかドスッという音が聞こえる。
音を出した張本人は頭を背中に擦り付けて猫のようにじゃれる。
「そ~ら~♪そらは今日もかっこいいねぇ~♪」
「はいはい、お前の今の状況を生放送したいわ。」
「撮ってくれるの?!ありがとう!!」
「否定しないのかよ!!」
「冗談だって、それは困る。せっかく模範的な生徒を演じているんだから。」
瑠璃は俺の前に立って、正面から抱き着く。
いつもの事なので、俺はさほど驚かず冷静にその場に座る。
「疲れないのか?」
「別に、しょうがないってわかるでしょ?家の事情知ってる空なら納得いくはず。」
「そうだったな。で?いつまで抱き着いてんだ?」
「気の済むまで!!」
「離れろ。」
「い~や!」
「暑苦しい…」
「じゃぁ付き合って!」
「却下。」
「結婚して!」
「お前は本当に頭いいのか?詐欺じゃないだろうな?」
「詐欺やイカサマなんてしてないもん。実力だもん!」
ドヤるな。腹立つわぁ~…
「そらはそんなにも私が嫌い?」
シュンとして落ち込む瑠璃の表情は、誰が見ても可愛いと思うだろう。
現に、今の俺がそう思っているくらいだ。でも、そんなこと口にはしない。
調子に乗るのがこいつだ。
「落ち込んでも無駄。その手には乗らないからな。」
「そらのケチ!」
「ケチで結構。俺この後事務所行って仕事あるから。」
「そっか。今日は撮影日だったね。頑張れそら!」
「お前にだけは言われたくない。今日姉貴が瑠璃を送るって言ってたから、教室にいろよ。」
「わかった。ありがとう。」
「そんじゃな。」
「そら。」
「ん?」
「大好きです!!」
「聞き飽きた。」
「酷い!Σ(゜Д゜)」
「じゃな。」
瑠璃に手を振って、俺は昇降口まで一気に走る。
理由はクラスからのリンチを振り切るため。
瑠璃は俺と二人でいるときは、その場所に誰も近づかないように言っている。
近づけば、瑠璃は許さないし口を利かないと笑顔で言っていたからだ。
そんなのは嫌だと思う奴が全員で、皆が守っている。
そのため、一階分下に下がれば待ち伏せする奴らがいるわけで…
リアル鬼ごっこの開幕っす…W
まぁ。俺に追いつく奴なんかいないと思うけどな。


移動中
追いかけてくる奴らを振り切り、マネージャーの車に乗っている俺は景色を見てぼけっとしている。
自己紹介していないな。
初めまして。押田空です。現在桜花商業高校二年で誕生日まだだから16歳です。
親が女優と俳優なので、バイトという名目で姉共々モデルをやってます。
瑠璃とは生まれた時からの幼馴染で、いつも一緒だ。
瑠璃のあの性格を知っているのは、俺の家庭と瑠璃の親戚の身内だけ。
猫っ被りと思えるけど、あれは弱い自分自身を見せたくないという瑠璃の意地でもある。
それを知っているし、理由も知っているから俺は特に何も言わないし誰にも言いたくはない。
瑠璃は見た目があれだから、期待外れと言われたくないといって努力した結果が模範的優等生だった。
白い肌に、サラサラで綺麗なダークブラウンの腰まであるストレートな髪。はっきりしている二重に、整った顔立ち。微笑めばモデル以上に綺麗といえる。
それでいて鼻にかける事もしないで、男女平等に接する。
そんな瑠璃は、成績も素行もすべてが完璧だ。
でも、それは努力したからそうなっただけ。
素の瑠璃はそうじゃない。やる気がなきゃ何もしない。休日は一日寝間着でボサボサの髪。
時間があればゴロゴロするか、溜めてた小説を読みつくすか…
あれを見たら誰も同一人物だなんて思わないだろってくらい、差が激しい。
毎日のように好き好き言っては抱きつく瑠璃。

瑠璃が残念と思うのはただそこだけ。
そこがちょっと残念の気がするのは俺だけなのか?

…え?贅沢な悩みだって?
そんなもんとっくに知ってるよ。⇦
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