私のステキな下僕 〜カレシ〜(短編)


わたしって、相当な嫉妬女かも。


もっと大人な女になるのよ。



「そっかー、そうなんだ。矢沢さんも
来るんだー」


ヤバい、棒読み過ぎ??


「矢沢さんのこと、知ってるの?」


さっき知ったよ。


「名前くらいわね」


「そうなんだ。矢沢さん小さいよね」


・・・は?


「そ、そうなんだー、小さいのかー」


小さいからなんなんだよ、テメーは!


なんかムカつく〜!
モヤモヤ??イライラ??

なんか知らんが腹立つーーー!!!


「152センチしかないらしいよ」


おい、やたら詳しいな。



那智の口から女の子の話なんて
出たことなくない??

なんなの?わざと?天然??


どっち??


わたし、もう笑えない。



「ゴメン、那智トイレ行きたい!」


「え?あ、そうなの??ごめん、じゃ帰りね」



那智に手を振ってトイレに行くと、

思いっきり壁を殴った。


また那智にボロクソ言うところだった。
でも耐えたわたし、偉い。


誰か褒めて。



それにしても、矢沢さんも水族館行くのか。


絶対わざとだよ。


1人で来て、「友達とはぐれちゃったー」とか言って一緒に回るハメになったらどうしよー。



そんな漫画みたいな展開は無いよね。



よし、明日を楽しもう。

メイクばっちりにして、那智とラブラブなとこ見せつけて、矢沢さんには諦めてもうおう!









うしっ!













「おはよ」


「おっ、おはよ」


水族館デート当日の朝。

予定時間通りに迎えに来た那智に、最高の笑顔を見せる。


今日は白の花柄のワンピースに、ピンクのカーディガンを肩に巻いて、髪も緩く巻いてハーフアップにした。

久しぶりにつけまも付けて、
チークも気持ち濃いめに入れてみた。
完璧デート仕様のわたしが完成。


「行こっ」


「なんかいつもと違うから緊張する」


「だって、デートでしょ?」


そして、決戦の日だ!!


「うん」


那智はというと、いつもサラサラな髪が、ワックスで毛先が遊んでいて
学校とは少し違う。

爽やかなデニムシャツが那智に凄く似合ってる。



ウフフ。
こんなお似合いなわたし達を見たら、
矢沢さんショック受けちゃうね。



そんなわたしの心の中とは裏腹に
那智は電車の中で、
水族館で今日行われるイベントを
説明してくれていた。









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