私のステキな下僕 〜カレシ〜(短編)
キャッキャッしながら水族館デートを
満喫して、館外に出た。
お揃いの白イルカのストラップ
買ってもらっちゃった。
「あー、楽しかった」
「まだだよ、これから花火が
あの船から上がるんだ」
那智の指差す方を見ると、船が
3隻横一列に並んでいた。
手すりを掴んで身を乗り出す。
「すごーい!意外に大掛かりだね!」
しばらくするとアナウンスがかかり、
花火大会が始まった。
ドンドーーンと
打ち上げられた花火を見て、
那智の方を盗み見ると、小さい頃の
頼りなかった那智の姿はもう無い。
なんだか、今なら素直になれるかも。
「那智、今日は本当にありがとう。
わたし、那智の彼女になれて
凄い幸せだよ」
ドーンドドーン!!!
「ん?なんか言った??」
は??し、信じらんない!!
「本当に聞こえなかったの??
最低!!もう、バカ那智!!」
フンっと、顔を背けると頬をくいっと
那智の方に向けられた。
「好きだよ、レイナ」
キレイな那智の瞳にゴクリと
息を飲むと、睫毛を揺らしてわたしの
唇にキスを落とした。
ねぇ、那智。
急に大人になんないで。
わたしの大好きな那智。
これ以上わたしを翻弄させないで。
これからも、ずっとわたしの
大切な人。