鬼姫伝説 Ⅰ
時間は、とても長く感じた。
千代は眠っているが時折苦しそうに唸り声をあげる。
何もしてやれない自分がもどかしく悔しかった。
「千代・・・すまない」
自分のせいでこんな目に・・・。
そう自分を責めることしかできない。
苦しい。
こんな思い初めてだった。
人間はなんと脆く、儚いのだろう。
すぐに壊れてしまう。
そんな者に思いを馳せてしまうなんて・・・。
「どうかしている・・・」
でも、千代に捕えられた心は、簡単にその思いを振り切ることはできない。
もう離れることなんて、できない・・・。