鬼姫伝説 Ⅰ
「鬼羅!大変だ!!」
喧しく戸を開き、琉鬼が叫ぶ。
ただならぬ状況に鬼羅は千代を抱きかかえる。
「時光が従者を連れて来た!」
「なに」
「それも、大軍だ!」
時光がどれほど本気で来ているのかがわかる。
鬼羅は千代を強く抱きしめ覚悟を決める。
「千代は、俺が守る」
「鬼羅・・・」
「行くぞ」
鬼羅は、そっと千代を横たえると立ち上がる。
拳を強く握り小屋を出た。
そんな鬼羅に続き琉鬼も力強く頷くと小屋を飛び出した。
小さく、時光の軍勢の勇ましい声が聞こえてくる。