鬼姫伝説 Ⅰ
「でも、次って・・・。次は、あるのかしら?」
千代は視線を杏に向けそう尋ねた。
昨日は母上が許してくれたから特別出れたのだ。
また許してくれるかはわからない。
許されるのなら、もう一度森へ行って彼らに会いたいのだ。
「沙代さまはそのおつもりでございます。・・・沙代さまは言い出したら聞かないお方ですから」
「本当!?わあ!また城下に行けるのね!」
何よりの喜びだと感嘆の声を上げる。
城下には、自分の知らない世界が広がっている。
一度の冒険で、そのことをひしひしと感じた千代は、好奇心をどんどんと膨らませていた。
そして、森で会った二人の鬼。
彼らにもう一度会いたいと。
会って、彼らの事をもっと知りたいと。
―人間なんか大っ嫌いだ!
そう言った彼の、心を聞いてみたいと。
千代は強く思った。