鬼姫伝説 Ⅰ



「昨日は、ただ迷い込んだだけみたいだったから見過ごしたけど、これ以上鬼羅に関わるなら、今すぐここで殺してもいいんだよ」

「琉鬼さま・・・」




揺れる瞳で琉鬼を見る。
琉鬼はまるで人が変わってしまったように、冷たい表情を見せる。



「鬼に関われば、どんな目に遭うのかわからせてあげるよ」




琉鬼の手が伸び、千代の首に巻きついた。
片手でギリギリと締め上げていく。




「・・・ぁ・・・・っ・・・」




息ができなくなり、苦しみに顔を歪める。
目に涙をため、手は宙を掻く。




首はどんどんと絞めつけられ、死を覚悟した―――――。






ガッと、後ろから腕を掴まれた琉鬼はその手を緩ませた。
その瞬間激しく咳き込む千代。




「ごほっ…ごほっ!!!」




涙で視界がぼやける。
千代は必死で息を整え、顔を見上げる。





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