鬼姫伝説 Ⅰ
「・・・鬼とは、化け物です。人を襲い、たくさんの人間を殺してきた」
「うそ・・・」
「本当です。鬼とは、恐ろしい化け物」
そんなはずはないと。
この目で見て、話した彼らはそんなことをするようには見えなかった。
確かに気性は荒く、口は悪い彼らだが。
闇雲に人を殺すようには思えない。
「鬼には近づいてはなりません。いつだって鬼は人間の命を狙っています」
「そんな!」
「ですから、父上も鬼の討伐に力を注いでいるんです」
「鬼の・・・討伐・・・?」
「ええ。恐ろしい化け物である鬼を絶滅させるため、父上は動いているのです。そのおかげで、少しずつ鬼は減ってきているのよ」
血の気が引いていく。
全てが繋がった気がした。
だって。
だってそれって。
鬼羅たちが人間を恨んでいることに、父上が深くかかわっているってこと。
「あなたも、もう鬼のことは忘れなさい。決して近づこうなんて考えてはだめよ」
「・・・はい」
胸が苦しい。
なんと言えばいいのかわからない。